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エンディングノートを作ってよかった理由 ある日突然やってきた 命の選択(家族の体験談)

エンディングノートは、作っておいたほうがいいことは分かっていてもついつい先延ばししてしまうものです。

死の準備をするなんて縁起悪いし、まだまだ元気なんだから何も今準備する必要はないと思ってしまいがちです。

私も、元気な父との別れを想像することができませんでした。だからこそ、私の体験談を参考にしていただければと思いお話させていただきます。

正月早々の119番通報

それは、正月のおとそ気分から、いよいよ日常生活に戻ろうとした1月4日の出来事でした。
朝7時頃に母が「お父さんの様子が変だ」と騒ぎ出しました。寝室へ行くと、眼はあけてはいましたが、口はぽっかり、意識のない父の姿が見えました。
呼びかけても反応がなく、嘔吐してしまい、まずは呼吸を確保。タオルと洗面器を用意して、すぐに「119」番通報しました。

二階に寝ていると救急車だけでは対応できない

「火事ですか?救急ですか?」と聞かれ、「救急車をお願いします。」と答え、状況を説明しました。本人の年齢、こうなった状態にはいつごろと予想されるかなど詳しく現況の報告が求められました。
また、寝室の場所を聞かれたので、「二階」と答えると、「既に救急車は出動しているが、二階では救急隊だけでは下ろすことが出来ないので、消防車も出動させる」とのことでした。
さらに、「今の呼吸はどうですか」と聞かれ、電話口からは見えなかったので、携帯電話からもう一度かけ直し、様子を詳しく伝えるように指示されました。

脳梗塞を発症 延命措置の判断を迫られる

病院に搬送され、脳神経外科の専門医師から「脳梗塞ですでに6時間以上経過しているため、左半分の脳が完全に壊死して、言語能力を失っている。」さらに最悪なことに「数日で脳が腫れ上がり、命の危険がある。
もっても1週間と思われる。すでに血栓を溶かす点滴を実施しているが、手術をして延命措置をとるかどうか、判断してほしい」とのこと。
猶予は、翌日の正午まで。「二度としゃべることはないと」宣告されてしまいました。

医師からのアドバイス

父の年齢は90歳と高齢であること、本人が終活をしていて寿命を意識していたことを思い出し、私は、延命措置を希望しないことを伝えました。
日頃から、私たち夫婦では延命処置はお互いにいらないと話し合っていたので、とっさに判断したと思います。医師から「近くの親戚より、遠くの親戚が反対することがよくあるので、しっかりと家族みなさんで話し合って結論を出してください。」とアドバイスされました。

辛い『命の選択』

午後から、母を中心に家族会議を開きました。命の選択をすることは あまりにも辛い選択で、助かる命なら、見殺しにするなんてことは誰にもできることではないと思います。
「助かるなら手術をしたほうがええんと違う」この葉に「ノー」と言える答えはもっていないと思います。確実にみんなが納得する答えが必要なんだなと痛感しました。
以前、父から市が出しているエンディングノートをもらってきてほしいと頼まれたことを思い出し、父の書斎を探すと「大切な人へのメッセージ」と書かれたエンディングノートが出てきました。
そこには、「治療について延命を希望しない。緩和ケアをして欲しい。介護・後見人については配偶者にお願いする。もしもの・・・準備については、家から葬儀を出して欲しい。」とありました。

決め手となったエンディングノート

食い違う意見をまとめるにあたって、今回、決め手となったのは、本人が記したエンディングノートと、配偶者である母の言葉でした。
父と母は延命措置に関して話していたらしく、母は強い口調で、はっきりと延命は絶対いらないと言いました。
同居する家族の意見も同じ意見で、何より大切にすべきは本人の意見ですが、このとき、本人は意思表示ができません。
何かに書き記しておくとことが、本当に後々の解決につながると、身をもって体験しました。
今回のケースで、仮に、書き記したものがないとしたら、「助けることができるんだったら、何でもやってあげるべき」というのは、正論だと思うので、これに対抗するのは、難しいと思います。

残された家族への最期のプレゼント

今回の経験から、家族が迷うことなく、本人の意思を叶えるために、みんなが納得できるものを生前から準備しておく、特にエンディングノートが必要で、残された家族への最期のプレゼントだと思いました。

ちょこちょこACP(アドバンスケアプランニング)

私が参加している滋賀県が主催する「医療福祉・在宅看取りの地域創造会議」では、専門職によるちょこちょこACP(アドバンスケアプランニング)が議論されています。
本人の日頃の言動を介護、医療などでかかわっている専門職がメモに書き記しておき、将来意思疎通ができなくなったときに役立てようとするものです。
行政書士も、これらの専門職と連携して、身近な街の法律家としてエンディングノートに取りまとめることでお役に立てるのではないかと思っています。

まとめ

今や人生は100年時代と言われています。エンディングノートは「大切な人へのメッセージ」と同時に自分を見つめ直すきっかけとなります。
「自分の人生は自分で決める。」これを何かに書き記すことは自分の未来のためでもあります。
未来に向けて、自分の人生を有意義なものとするためにも一つの整理をしてみませんか。
一人ひとりの人生に寄り添い一冊のノートに仕上げるお手伝いをさせていただきます。